営業リスト作成

営業リストの作り方|使える母数から逆算する

テレアポ・DM・メールで使える母数はまったく違います。手段別の保有率データから逆算する営業リストの作り方を解説します。

営業リスト作りで、最初に決めるべきこと

多くの会社は「まず何件集めるか」から考え始めます。しかし実務で失敗しやすいのはここです。営業リストは、DM・テレアポ・メール・フォーム営業のどの手段で使うかによって、「使える母数」がまったく違います。1万件のリストを用意しても、実際に架電できるのは電話番号を持つ会社だけ、メールを送れるのはメールアドレスを持つ会社だけです。

ですから最初に決めるべきは「何件のリストを作るか」ではなく、「最終的に何件の企業に到達したいか」です。到達したい件数から逆算して、必要な母数を計算する。この順番を間違えると、せっかく集めたリストの大半が結局は使えないデータになってしまいます。

手段によって使える母数はここまで違う

国税庁の法人番号公表データをもとにした「営業GO!」のデータベース(全国5,321,656社)で、連絡先情報の保有率を実測すると次の通りです。

連絡先 保有社数 保有率
郵便番号・住所 5,321,656社 100%
Webサイト 759,337社 14.3%
電話番号 695,135社 13.1%
代表者名 526,749社 9.9%
メールアドレス 235,950社 4.4%

住所以外の保有率が低く見えるかもしれませんが、これは出所をたどれるデータだけを数えているためです。各社の公式サイト、gBizINFO(経済産業省)、各地方運輸局や各都道府県が公開している名簿など、どこから取得したかを記録しているものに限っています。「入っていることになっているが、誰がいつ集めたのか分からない」データは件数から外しています。実際にお渡しできる件数がそのまま上の表の数字です。

これを営業手段に当てはめると、次のようになります。

  • DM(郵送): 商号・所在地・法人番号は国税庁の公表データにもとづき全社ぶんあるため、母数をそのまま使えます。件数の絞り込みはエリア・業種だけで完結します。
  • テレアポ: 電話番号を持つ会社は69.5万社です。1万件のリストを用意しても、実際に架電できるのは約1,300件にとどまります。テレアポで1万件に架電したいなら、母集団としては約7万6千件(1万件÷13.1%)を見込んでおく必要があります。
  • フォーム営業: Webサイトを持つ会社は75.9万社(14.3%)です。問い合わせフォームからのアプローチは、対象をある程度絞り込んだうえで使う前提で考えたほうが現実的です。
  • メール営業: 保有率は4.4%です。そもそも母数として成立しにくい手段だと理解しておく必要があります。業種やエリアを絞り込むほど、対象がさらに少なくなることも見込んでおきましょう。

同じ「1万件のリスト」でも、DMなら1万件そのまま使えるのに対し、メールでは440件程度しか使えない計算になります。手段を決めずに件数だけを決めてしまうと、この差にあとから気づいて手戻りが発生しがちです。

なお、代表者名は52.7万社で確認できています。DMの宛名やテレアポの冒頭で代表者名を添えられるかどうかは、開封率や取次率に関わる実務上のポイントですので、あわせて確認しておくとよいでしょう。宛名を入れたい場合は「代表者名あり」で絞り込んだ件数を母数として見てください。

絞り込みの順番:エリア→業種→規模→連絡先の有無

母数の考え方が分かったところで、実際の絞り込み手順です。おすすめの順番は次の4段階です。

1. エリアで絞る

自社の商圏、あるいは訪問可能な範囲から絞り込みます。参考までに、当社のデータベースでは東京都だけで1,204,201社(全国の22.6%)を占めます。エリアを絞らずに検索すると、結果が東京都心の企業に偏りやすい点は覚えておいてください。

2. 業種で絞る

業種は大分類・中分類・小分類の階層で区分されています。自社の商材が刺さりやすい業種を選び、業種を絞らないまま件数だけを追うと反応率が読みにくくなるため、まず狙う業種を明確にしてから件数を見るのが実務的です。

3. 規模で絞る

ここが見落とされがちな工程です。日本の法人は従業員数の少ない小規模企業が多くを占めるといわれています。実際の従業員規模別の社数は、当社データベースの検索条件で絞り込みながら確認できますので、リスト作成前に一度目安を確認しておくことをおすすめします。

規模で絞り込まずにリストを作ると、母数の大半がごく小規模な企業になり、想定していた企業規模の見込み客とズレが生じます。一定の予算規模を持つ企業をターゲットにしたい場合は、従業員数・資本金・売上高のいずれかで下限を設定することをおすすめします。逆に、小規模事業者向けの商材であれば、あえて絞り込みすぎないほうが母数を活かせます。

4. 連絡先の有無で絞る

最後に、使う手段に必要な連絡先を持つ会社だけに絞り込みます。テレアポなら電話番号あり、メール営業ならメールアドレスありといった条件です。この工程を最初にやってしまうと、そもそも狙いたい業種・エリアの母数がどれくらいあるのか分からないまま絞り込むことになり、ターゲット設計そのものを見誤りやすくなります。エリア→業種→規模の順で母集団を固めたあとに、最後の仕上げとして連絡先条件をかける、という順番が実務的です。

よくある失敗

  • 件数だけで発注・購入してしまう: 「1万件ください」と依頼して、いざ架電しようとしたら電話番号があるのは数千件だった、というケースはよくあります。手段と保有率をセットで確認してから件数を決めましょう。
  • 規模で絞らず、極小企業ばかりのリストになる: 前述の通り、絞り込まなければ母数の大半が従業員数の少ない小規模企業になりがちです。自社の商材が小規模事業者向けでない場合、規模条件は必須です。
  • エリアを絞らず、東京都心に偏る: 全国の22.6%が東京都に集中しているため、無条件で抽出すると都心企業ばかりが上位に並びやすくなります。地方展開を狙う施策では特に注意が必要です。
  • メール営業を主力チャネルに据えてしまう: 保有率4.4%という前提を知らずに計画を立てると、想定した件数に到達できず、施策全体の見直しが必要になります。メールは補助的なチャネルと位置づけ、DMやテレアポと組み合わせるのが現実的です。

まとめ

営業リストを作るときは、「何件集めるか」ではなく「どの手段で、何件に到達したいか」から逆算するのが実務のコツです。手段によって使える母数はまったく異なり、DMなら全社、フォーム営業は約14%、テレアポは約13%、メールは約4%が目安になります。そのうえで、エリア→業種→規模→連絡先の有無の順に絞り込むと、狙った条件に近いリストを効率よく作成できます。

当社が運営する「営業GO!」は、国税庁の法人番号公表データをもとにした全国5,321,656社の法人データベースです。毎日の差分取込と月次の全件突合で、新設・商号変更・移転・閉鎖といった情報を反映しています。エリア・業種・従業員規模・資本金・設立年などの条件で絞り込み、対象リストをCSVでダウンロードできます。

なお、連絡先の保有率は前述の通りWebサイト14.3%・電話番号13.1%・代表者名9.9%・メールアドレス4.4%です。すべての会社に全ての連絡先が揃っているわけではありませんので、この記事でご紹介した逆算の考え方を、リスト作成の条件設定にお役立てください。検索画面では絞り込んだ時点の件数がその場で出ますので、発注や購入を決める前に必ず実数をご確認ください。

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